これまで特集してきたのは多分知っている人も多かったでしょうが、今日やる田単はさすがに知ってる人はいないと思ってます。 この人は中国の戦国時代の人で、西暦にすると大体紀元前三世紀くらいの人です。元々は現在の山東省にあった斉という国の下役人だったのですが、昔にいじめたことのあった北にある燕国が復讐とばかりに当代の名将である楽毅を出し、他の国を巻き込んで攻撃してきたので一気に斉は滅亡の危機にさらされていました。なんでも当初は70以上も都市を領有していたのに、このとき斉はたった二城しか残らなくなったと言います。
当時、現在も同じ地名の即墨城に逃げていた田単でしたが、軍隊を率いる将軍が戦死してしまい、ほかにまともそうなのがいないと言うことで下役人である田単に将軍の白羽の矢が立ちました。しかし田単は相手があの楽毅であるため自分ではとても敵わないと言って固辞しますが、講和条件を有利にするだけでいいとまで言われてしぶしぶ引き受けます。そしたらその直後、なんと相手国の燕で王が急死してしまいました。
この情報を聞くや田単は光明が差したとして、早速スパイを放って燕の国内で楽毅は反乱を企てていると、新しく王になった皇太子に伝わるようにうわさを流し、そのうわさを真に受けた皇太子は普段から仲が悪かったこともあり、楽毅を解任させてしまいました。ちなみに、この時楽毅は殺されるのを恐れて亡命し、その後に皇太子に当てた手紙は名文とされ、三国志の諸葛孔明は人生の手本としています。
こうして楽毅を追いやった田単でしたが、その後も相手陣内にて偽情報を流し続け、 「捕まった捕虜が鼻をそがれるのを守備兵は怖がっている」 「城外にある先祖の墓が荒らされないか心配だ」 などと流し、真に受けた燕軍は捕虜の鼻をそぐわ墓を荒らすわして、それを目にした斉軍の兵士はこんな目にあうならばと烈火のごとく怒り、兵糧も足りない中誰も降伏を口にせずに戦い続けました。
そうして最後に田単は偽の降伏の使者を出し、場内を説得するから三日待ってくれと頼み、頼んだその夜に猛烈な夜襲をかけて燕軍見事打ち破り、その後奪われた70以上の都市もすべて解放してしまいました。史記には才能ある人間が不幸な結末に終わる話が多いのですが、その中で思い切った抜擢によって報われる数少ないエピソードがこのお話で、自分の好きなエピソードでもあります。 テーマ:歴史上の人物 - ジャンル:学問・文化・芸術
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